
カンバスと言うこともありますが、単に日本語表記の揺れでしょう。
キャンバスは油彩にとって、水彩でいう
水彩紙にあたるものです。
麻布に塗料を塗って目を埋めたもの(キャンバス地)を木枠にぴんと張ったものが主ですが、
「キャンバス(カンバス)ペーパー」と呼ばれる、油絵用の紙もあります。
後者は表面がちょっとデコボコ・ツルツルしている丈夫な紙という感じです。
問題なく描けますが、昔描いたものをふと見ていると、油が染みて乾いた結果、
裏面が黄色くなっていてびっくりしたことがあります。
通常、あるいはきちんとやろう!という時はおそらく、キャンバス地+木枠を使うものだと
思うので、以下、キャンバス張りの方法を簡単に説明します。
ちなみに塗料を塗るところからやることもできないではありませんが、
よほど上手くやらないと絵の具ののりが悪いものになるので、
初心者向けじゃありません。
キャンバス地まで出来上がったやつを張るのだけやるのが一般的だと思います。
キャンバスの張り方
- キャンバス地も湿気によって多少伸びることがあるそうです。 なので、常に張りの強さを保つのには、湿気のある時に行ったほうが効果的です。
- ここでは一辺に使う釘を基本的には5本としていますが、キャンバスの大きさによって、 各々調整してよいと思います。
- 慣れないうちは、木枠を立ててキャンバス地を配置して引っ張りながら釘を配置して打つ、 という作業を一人でやるのは難しいかもしれません。引っ張る人と釘を打つ人の2人1組で やれば、ちょっと楽で簡単になります。
- 木枠が組み立てる必要のあるものだったら、組み立てる。
- 木枠の大きさよりもやや大きく(周囲10センチずつ位の余裕)、 キャンバス地を切る(カッターかハサミでOKです)。
- キャンバス地の位置を合わせて、木枠のヘリの広い辺の中点を釘を打って留める。
- 反対の辺の中点を、キャンバス地を引っ張る用の器具で生地を挟み、 対辺に向けて強く引っ張りながら留める。
- 短い辺も同様にする。すると、4つの中点を頂点とした、ダイヤモンド型のシワができる。
- 次に、長い辺の中点と角の間をキャンバス地をしっかり張りながら留める。
この時、やや角の方に向けて引っ張ると、シワを角に寄せていきやすい。 - 対辺も同じように行い、次いで短い面も同様に。
- また長い辺に戻り、角の脇辺りを、キャンバス地を引っ張ってその角のほうに
寄ってきていたシワがなくなるよう、やや角寄りの下へ引っ張りながら、釘で留める。
対辺も同じように行う - 最後に短い面の角の脇を留めるのだが、この時、
角の形に合わせてキャンバス地を折り込んで一緒に釘を打ち込んで留めてしまう。
反対の辺も同様にすれば、4つの角全ての処理が終わる。 - 表を見てみたり叩いてみたりして、シワが残っていたり、ハリが足りないと思ったら、
より辺の中点に近いシワのある所から処理すること。
シワがなくなる(もしくは角のほうに寄る)ように生地を引っ張り、釘を打ち足していく。 - 最初に張り終わった時点で、釘は各辺に5本ずつの状態になっている(●)。
とりあえず全体的に張りを強化したい場合、★のところに釘を足すと手っ取り早いと思われる。
● ★b ● ★a ● ★a ● ★b ●
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| キャンバス | - ただし、最初の工程同様、長い辺のaを打ったら、対辺のaや短い辺のaを打ってから、 bに取り掛かること。
- 力を入れてしっかり生地を引っ張らないと、 釘を足しても意味はない。
- 満足できる張りになったら、今まで引っ張るための幅としても使われていた 余分なキャンバス地を切り取って(特に邪魔に思わない場合はそのままでOK)、 キャンバスの完成!
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